Hepatitis B
B型肝炎(Hepatitis B)とは?
A型肝炎は、A型肝炎ウイルス(Hepatitis A virus)の感染によっておこるウイルス性の肝障害です。A型肝炎ウイルスによる肝炎は一過性で、いわゆる急性肝炎とよばれます。6ヵ月以上肝炎が続くようなこと(慢性化)はありません。
A型肝炎ウイルスの感染から、約1か月後に発熱、全身のだるさ、嘔気、食欲不振、黄疸、などがみられます。風邪と間違われることもあります。小さな子供ではほとんど症状がみられません。
発症後1-2か月で回復することがほとんどですが、極めて稀(0.1%)に劇症肝炎と言われる重篤な状態や、肝臓以外の臓器がおかされることがあるため、早めに医療機関を受診することが重要です。
B型肝炎の感染経路と予防法
感染者の血液や精液や膣分泌液に含まれるB型肝炎ウイルスが、粘膜や傷などから侵入し感染をおこします。
かつては、母子感染、輸血、医療従事者の針刺し事故、注射器の使いまわしなどが主な感染原因でしたが、今は適切な対策がとられているため、日本でそのような経路で感染することはほとんどありません。現在は、性行為による感染が多く、ピアスの穴あけや入れ墨などで器具を消毒せず繰り返し使用した場合の感染もみられます。
注意をしていれば、日常生活の場での感染するリスクはほとんどありません。歯ブラシ、ひげ剃り等の血液が付着する日用品は他人と共用せず、血液がついたものは、よく洗い流すか、包んで捨てましょう。衛生状態がよくない施設で、血液が付着するような手技は受けないことも大切です。
B型肝炎に感染したことがないに方は、ワクチンを用いて予防する方法があります。通常、一定の期間をおいて3回接種します。
性行為の相手への感染を防ぐため、パートナーが未感染ならばB型肝炎ワクチンの接種が勧められます。コンドームは性行為による感染リスクを減らすのに役立ちますが、100%予防できるわけではありません。
衛生状態のよくない地域を旅行する場合も、接種が勧められます。
ワクチンを接種しても予防に十分な反応が得られないことがあります。接種前後に抗体価を検査し、十分な抗体価の上昇が得られたかどうかを確かめることがあります。
妊婦さんがB型肝炎ウイルスに感染していることが分かったら、母子感染を防ぐための処置が必要になりますので、妊婦健診はとても重要です。
B型肝炎の検査
B型肝炎に関する検査は様々なものがあり、目的に応じて選択されます。
B型肝炎に持続感染しているかどうかを知るための検査として最も一般的なものは、HBs抗原検査です。一方、B型肝炎に対する免疫があるかどうかを調べる場合は、HBs抗体検査を行います。
急性肝炎を発症している間は、肝臓から出る酵素である血清トランスアミナーゼ (ALTまたはGPT、ASTまたはGOT)が異常に高い値を示します。黄疸が出ると、ビリルビンという値も上昇します。また、肝臓以外の臓器がおかされていないかどうか、劇症化していないかどうか、他に肝臓に障害を来す原因はないか、などを調べる目的で、血液検査や画像検査行われることがあります。
慢性肝炎、肝硬変など、感染が続いている場合は、定期的に医師の診察を受ける必要があります。肝がんを合併していないか定期的な画像検査が行われるほか、抗ウイルス薬による治療の必要性や、治療の効果を判断するための検査が行われます。
B型肝炎の治療
急性肝炎に対しては、対症療法が主体となります。自覚症状や、血液検査上、肝障害の程度が強い場合は、入院の上治療が行われます。急性期、特に肝機能が低下している時期は、低蛋白、低脂肪食が消化器症状の改善を早めると考えられています。1-2%に劇症肝炎と言われる重篤な状態や、肝臓以外の臓器がおかされることがあるため、早めに医療機関を受診することが重要です。
慢性肝炎においては、抗ウイルス療法が行われることがあります。インターフェロン療法のほか、核酸アナログとよばれる抗ウイルス剤で、もともとHIV感染症の治療薬として開発されたものが治療に使われます。B型肝炎に対して核酸アナログを使うときは、HIV感染に合併しているかどうかを確認することが必要です。HIV感染に対して核酸アナログのみを使うと、HIVが薬剤に耐性化してしまうおそれがあるからです。